逝書?
棺に入れて欲しい大切な本は?
3冊挙げてみるとしたら何だろうか?
私の大切な3冊は、大往生、悪と戦う、白夜行である。いずれも長い人生のなかで、色濃く心に残る本だ。
社会に出れば、学生時代とは比べモノにならないほど変な人に会う。デザイン室の先輩に変わり者がいた。彼女に誘われて行ったライブにドはまりして、結局数年日本各地を追っかけして回るようになった。長野に向かう新幹線で、当時読んでいた「大往生」にサインを頂き、私の青春の思い出となった。第一次夢中期と言えよう。
次に、東野圭吾氏の「白夜行」であるが、言わずもがな有名な作品である。底無し沼のような暗黒にズブズブと填まっていく二人だが、一方でこんなアガペ―な純愛に震える。人生を懸けて愛されてみたいものだ。いや、怖いかな?
色々考えさせられる作品で、誰かを愛したり、誰かに愛されたりしたことが無い私には衝撃だった。
最後の本は他の2冊とは意味合いが違い、心からの感謝に尽き無い本だ。「悪と戦う。」は
偶然に本屋で手に取った作品だ。悪が何なのかは本書を読めば解るが、私はタイトルに惹かれて購入した。フリーランスでやっていたブランドにいよいよ影が出始め、サブプライムで世界がおかしくなり始めた頃、こちらでも内紛が勃発し始めた。この時の私にとっての悪は人だった。殺してやりたいくらい憎い人間がいた。
ストレスフルな生活は何時の間にか私を蝕んでいた。うまくいかない経営と人。これ以上頑張る必要ないんじゃないか?ブランドクローズが決まった。これに前後してちょうど癌の告知があり、私にとっての悪は病気になった。
それまでの全ての仕事とキャリアを捨てて、闘病に入る準備をした。
始めて読む作家だった。本を開く。
読み進めていくうちに涙が出た。
涙が次から次から沸いた。
ほんの数行、大切に大切に頑張ってきた私のブランド、Lillinilsのことが書かれていた。
美しい服と評されていた。おそらく主人公は著者の高橋源一郎氏と思われ、お子さまがたに
ご用意されていたのか、とても嬉しかった。
何にも無くなってしまった私に、最上級の慰めだった。
こんな偶然があるのだろうか。
ああ、なんと言うことか。生きる力になったことは間違いない。心からの感謝を彼の氏に。
Lealue